夕光ゆうかげ)” の例文
桜のいっぱい咲いて居る山の夕光ゆうかげの中に一人立って居ると、何だか自分があわれっぽくてならなかった。
花幾年 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
めづらかに夕光ゆうかげしづむ不二ヶ嶺のおのづから保つ明日のよき凪
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ところが、其日も昼さがりになり、段々夕光ゆうかげの、催して来る時刻が来た。昨日は、駄目になった日の入りの景色が、今日は中日にも劣るまいと思われる華やかさで輝いた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
夕光ゆうかげのさわさわと揺る尾羽の張り七面鳥がうしろ見せつも
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
追分は夕光ゆうかげを戸をして本陣のまへに寝る犬があら
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)