塩垂しおた)” の例文
旧字:鹽垂
入口の格子の横手は少しばかりの空地で其処には小唄の師匠、坂東久美治こと、お組の舞台が掛けてあり、大夕立に叩かれて、見る影もなく塩垂しおたれて居ります。
死をナホル 病をナヲス 泣くを塩垂しおたる 血を汗 ししくさびら 打つを撫づ 墓をつちくれ
より以上に感心した。それは女のする通りの所作に違ひないが、しかしその通りを男の青年がするのに、少しも男の格を崩し、また男の品位を塩垂しおたれさすやうな女々めめしいくぼみは見出みいだせなかつた。
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)