堕涙だるい)” の例文
世事せいじ測る可からずといえども、薙髪ちはつしてきゅうを脱し、堕涙だるいして舟に上るの時、いずくんぞ茅店ぼうてんの茶後に深仇しんきゅう冥土めいどに入るを談ずるの今日あるを思わんや。あゝまた奇なりというべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのその徳その才があるのでなければどうすることも出来ない乱世に生れ合せた人の、八十ごろのとしで唐松の実生を植えているところ、日のもとの歌には堕涙だるいの音が聞える。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)