城代じょうだい)” の例文
与力の座を立ったあとへ、城代じょうだい太田備中守資晴おおたびっちゅうのかみすけはるがたずねて来た。正式の見回りではなく、私の用事があって来たのである。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たとえば城代じょうだいの顔と二三の同志の顔のクローズアップ、それに第一のクライマックスに使われた「柱に突きささった刀」でもフラッシュバックさせるとか
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
山口駿河するがは大坂にいた。その時は将軍も大坂城を発したあとで、そこにとどまるものはただ老中の松平伯耆ほうき城代じょうだい牧野越中まきのえっちゅうとがある。その他は町奉行、および武官の番頭ばんがしらばかりだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は責任を知る晁錯ちょうそなり、無学なる(比較的に)王安石おうあんせきなり。彼は文化十二年寺社奉行となり、爾来じらい大坂城代じょうだいとなり、京都所司代しょしだいとなり、西丸にしのまる老中となり、遂に天保五年本丸ほんまる老中となる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
伊東七十郎のほかに、訪問者が三人待っており、あとからまた二人来て、それらとの用談が済むと、宮崎筑後ちくごから、招宴の使いが来た。筑後は本丸城代じょうだいで、これまであまり親しいつきあいはなかった。
西町奉行の佐佐は、両奉行の中の新参しんざんで、大阪に来てから、まだ一年たっていない。役向きの事はすべて同役の稲垣いながきに相談して、城代じょうだいに伺って処置するのであった。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
城代じょうだいも両奉行もいちを「変な小娘だ」と感じて、その感じには物でもいているのではないかという迷信さえ加わったので、孝女に対する同情は薄かったが、当時の行政司法の
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)