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垜
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あずち
ふりがな文庫
“
垜
(
あずち
)” の例文
矢は
垜
(
あずち
)
の上を遥かに越えて、その後ろの
疎
(
まば
)
らな木立を抜け、隣の庭——植木屋の松五郎の庭——へと飛んで行きます。それからほんのしばらくの後——。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それ、——こんな法要はごまかしだ、と喚いていた若者よ」と和尚は云った、「おまえさんのほうへ指を突きつけていたが、眼つきは
垜
(
あずち
)
の的を
覘
(
ねら
)
っているようだったぞ」
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
顎十郎は先に立って厩を離れ、矢場の
垜
(
あずち
)
のうしろをまわって塀ぎわのひろい空地に出ると、急に足をとめ、
蟠屈
(
ばんくつ
)
たる大きな
老松
(
おいまつ
)
の
梢
(
こずえ
)
をさしながら藤波のほうへ振りかえり
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私が弓をひいた
垜
(
あずち
)
がまだあるのを聞いて今昔の感に堪えん。何だかもう一遍行きたい気がする。道後の温泉へも這入りたい。あなたと一所に松山で遊んでいたらさぞ呑気な事と思います。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかし矢は地面をはって
垜
(
あずち
)
まで達しない。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
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「
垜
(
あずち
)
を越して、この羽目へ射込むには、坊主矢じゃ駄目だ。新助が
本矢鏃
(
ほんやじり
)
を使ったのはそのためさ」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
甲斐は「さて」といってはじめて、構えていた弓をおろし、
垜
(
あずち
)
にいる大助を招いた。堀内大助は惣左衛門の二男で、今年十四歳になり、三年まえから甲斐の側に勤めていた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ヒュン、と澄んだ
弓弦
(
ゆづる
)
の音がし、弓から離れた矢は、矢羽根をキラキラ光らせながら、糸を引いたように真っ直ぐに
垜
(
あずち
)
のほうへ飛んでゆく。的の真ん中に矢が突き立って、ブルンと矢筈を震わせる。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「まだ解らねえ、——手前と重吉兄哥は、ここを真っ直ぐに
垜
(
あずち
)
の前を通って、木戸をあけて、ゆっくり植木屋の裏へ出てくれ、何か変った事があったら、遠慮なく声を出してもいい」
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
垜
(
あずち
)
のあたりで小さな点になったとみると、こころよい音をたてて的につき立った。
日本婦道記:箭竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
長六閣下は、
垜
(
あずち
)
のほうへ向きなおって、
靫
(
ゆぎ
)
から矢を抜き出す。
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
垜
部首:⼟
9画
“垜”を含む語句
射垜
垜屋
垜積
堆垜
絡垜