垂味たるみ)” の例文
彼は辛うじて恥をかずにすんだという安心をこの時ようやく得た。同時に垂味たるみのできた気分が、すぐ田口に向いて働らきかけた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それも丹念に塗りたくって、根気任せにり上げた眼玉ではない。一刷毛ひとはけに輪廓をえがいて、眉とまつげの間に自然の影が出来る。下瞼したまぶた垂味たるみが見える。取る年が集って目尻を引張る波足が浮く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)