坦道たんどう)” の例文
そして、丘の端へ歩いてゆくお光さんの後について、そこから目の下に眺められる広い坦道たんどうを、いっしょになって見下ろした。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あずさ川の右岸に沿い、数丁登って河童橋かっぱばしを渡り、坦道たんどうを一里ばかり行くと、徳合とくごうの小屋、左に折れ川を越えて、少々下れば、穂高仙人、嘉門次の住居、ほうけん余、屋根・四壁等皆板張り
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
が、家康とて、その道が易々たる坦道たんどうとはおもっていない。西上までに一大会戦を期しているであろう。秀吉もそれを期す。——その地はどこか。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小松原の坦道たんどうを足にまかせてテクテク歩く。南嶺の東北端だという断崖の上へ出た。小肥りな茶店の主人公がさっそく立ち現われて、ぼくらにいう。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たがいにきつかれつして、八ちょうばかりの坦道たんどうを、見るまに、二町走り三町走り、六町走り、アア、あとわずかと試合場しあいじょう城戸きどまで、たッた二、三十けん——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)