坐礁ざしょう)” の例文
ところがちょうど三、四カ月ほど前から、はからずも当時あやうく坐礁ざしょう沈没をまぬがれた一貨物船の乗組員を中心にして、非常に奇妙なうわさが流れ始めた。
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
坐礁ざしょうした大戦艦淡路が傾いており、そのまわりには大小いろいろな軍艦がぐるっととりまき、空には尻尾しっぽを赤くった海軍の偵察機が舞い、それを背景にして
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その安心を、はなはだしく揺り動かされ、のみならず、その他のことも一切が、まるで、プログラムと違った方向に脱線して、坐礁ざしょうしたということを、さとらねばならないだろう。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
竜巻よ来い。弓矢、来い。氷山、来い。渦まく淵を恐れず、暗礁おそれず、誰ひとり知らぬ朝、出帆、さらば、ふるさと、わかれの言葉、いいも終らずたちまち坐礁ざしょう、不吉きわまる門出であった。
喝采 (新字新仮名) / 太宰治(著)
坐礁ざしょうした軍艦のすぐ前に見えるのですから。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)