在否ざいひ)” の例文
北太平洋の波の音の淋しい釧路の白糠しらぬか駅で下りて、宿の亭主を頼み村役場に往って茶路ちゃろに住むと云うM氏の在否ざいひ調しらべてもらうと、先には居たが、今は居ない、行方ゆくえは一切分からぬと云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
取次の下女に、「美禰子さんは御宅ですか」と云つた時、三四郎は自分ながら気恥きはづかしい様な妙な心持がした。ひとの玄関で、妙齢の女の在否ざいひを尋ねた事はまだない。甚だ尋ねにくい気がする。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)