)” の例文
旧字:
秋成や守部の様な批評家でない自分は、憂鬱な伝統知識のしの下に、何だか、不満な気分を抱いてゐたばかりであつた。其が、微かながら、跳ね返す力を得て来た訣である。
古代研究 追ひ書き (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
読みさしの頁をみるとなんだか胸を蒸気でされるやうだつた。暑さは幾らでも募つてゐた。庭の池の水がアヲ黒くドロドロになつて、囲りの木の葉が動かずにヂツトそれを覗き込んでゐた。
耕二のこと (新字旧仮名) / 中原中也(著)