“因子（ファクター）” の例文
つまり、その一つ一つから共通した因子（ファクター）が発見され、しかも、それ等をある一点に帰納し綜合し去ることが出来たとしたらどうだろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) ／ 小栗虫太郎(著)
どんな生活環境の伝統と習俗と気風とを因子（ファクター）として成り立っている「自分」かという客観的事実については、考えられなかった。
婦人と文学 (新字新仮名) ／ 宮本百合子(著)
こうして、幾つかの因子（ファクター）を排列しているうちに、法水は噴（ふ）っと血腥（ちなまぐさ）いような矢叫（やさけ）びを、自分の呼吸の中に感じたのであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) ／ 小栗虫太郎(著)
良人となる青年がそれだけ念の入った複合体であると同様に妻となる女性も、彼女の或は無心な情緒の奥にそれだけの因子（ファクター）をちゃんとしまっているわけである。
家庭創造の情熱 (新字新仮名) ／ 宮本百合子(著)
本質はそういうものであるにしろ、資本主義も自由主義時代がすぎて、計画性をもたなくちゃならなくなって来ているという事実そのものが今日の歴史の因子（ファクター）なんだ。
道標 (新字新仮名) ／ 宮本百合子(著)