回想おもひで)” の例文
広野、湯の丸、籠の塔、または三峯さんぽう、浅間の山々、其他ところ/″\に散布する村落、松林——一つとして回想おもひでの種と成らないものはない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其時は最早あの可傷いたましい回想おもひでの断片といふ感想かんじも起らなかつた。唯大きな牛肉の塊としか見えなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
式もた簡短であつた。単調子なかね、太鼓、鐃鈸ねうはちの音、回想おもひでの多い耳には其も悲哀な音楽と聞え、器械的な回向と読経との声、悲嘆なげきのある胸には其もあはれの深い挽歌ばんかのやうに響いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)