器什きじゅう)” の例文
甚だしき遊蕩ゆうとうの沙汰は聞かれざれども、とかく物事の美大を悦び、衣服を美にし、器什きじゅうを飾り、いずるに車馬あり、るに美宅あり。
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
仮に測らざる理由によって、一度はその岸にれたことがあったにしても、再び家族をつれ、物種器什きじゅうを船に積んで、来て住もうという決心をするだけの引力は何に見出し得たろうか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
阿部家への帰参がかなって、枳園が家族をまとめて江戸へ来ることになったので、抽斎はお玉が池の住宅の近所に貸家かしいえのあったのを借りて、敷金を出し家賃を払い、応急の器什きじゅうを買い集めてこれを迎えた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)