いななき)” の例文
犬の吠え声、たこの唸り、馬のいななき、座頭の高声、弥次郎兵衛も来れば喜太八も来る。名に負う江戸の大手筋東海道の賑やかさは今も昔も変わりがない。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
青年画家は麓を志して道をいそいだが、後方うしろの山を越えて、千軍万馬の襲い来る鉄蹄てっていの響きや、馬のいななきをきいた。たちまち雨やら、風の物音が耳許みみもとを襲う。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
外を乗り回す人の絹帽子きぬぼうしの光が見えた。洋剣サアベルの音だの、馬のいななきだの、遣羽子やりはごの声が聞えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「馬いななきて白日暮れ、剣鳴て秋気来る」と小声で吟じ、さて、何の面白い事もなく、わが故土にいながらも天涯の孤客こかくの如く、心はびょうとしてむなしく河上を徘徊はいかいするという間の抜けた有様であった。
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
(玄関の方にて駒の蹄の音。いななき。やがて間もなく従者いそがわしく出場)
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
馬の恐怖したいななき
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)