唾壺だこ)” の例文
「いや、これは。」主税は狼狽うろたえて、くるりと廻って、そそくさを開いて、隣の休憩室の唾壺だこへ突込んで、みさしを揉消もみけして、いたく恐縮の体で引返すと、そのボオイを手許てもとへ呼んで
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
置時計、寒暖計、すずり、筆、唾壺だこ、汚物入れの丼鉢どんぶりばち呼鈴よびりん、まごの手、ハンケチ、その中に目立ちたる毛繻子けじゅすのはでなる毛蒲団一枚、これは軍艦に居る友達から贈られたのである。(六月七日)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
また竹は一般に我国に於る唾壺だこの代用として使用されるが、それは短く切った竹の一節を火壺と一緒に箱に入れた物で、人は慎み深く頭を横に向けてこれを使用し、通常一日使う丈で棄てて了う。