和気靄々わきあいあい)” の例文
幾人いくにんの家族があってもたがい相侵あいおかさないで一家団欒だんらん和気靄々わきあいあいとするようにならなければ政治上の立憲制度も到底円滑に行われんよ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「実は持て余していたところなんでしょう?」と老外人の見事な応酬。——そんな和気靄々わきあいあいたる常談の云いあいをあとに、私はビスケットだけ包んで貰って、さっさと店を出て来た。
晩夏 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
車掌が乗客をうたぐり、乗客たちは相互に疑り車掌を疑り、みんなが他の者を一人残らず疑り、馭者は馬よりほかのものは何も信用しないという、それのいつも通りの和気靄々わきあいあいたる有様であった。
この鶯の啼き交わす長閑のどかな美しい声に結ばれて、さしも長い間わだかまっていた結城、下妻両藩の間の悪感情もとけて、それから後は、両藩の若侍たち、嬉々ききとして邪念なく、和気靄々わきあいあいのうちに
平馬と鶯 (新字新仮名) / 林不忘(著)