和宮かずのみや)” の例文
和宮かずのみや御降嫁ごこうかを願い奉った自分の公武合体の苦肉の策を憤激している尊王派の面々も、無論忘れてならぬ第二の敵だった。
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
この家茂に降嫁された夫人が、すなわち和宮かずのみやであります。和宮は時のみかど、孝明天皇の御妹であらせられました。
「文久元年十月の和宮かずのみやさまがお通り以来だぞ。千何百人からの同勢をこんな宿場で引き受けようもあるまい。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そう言えば、あの和宮かずのみやさまの御通行の時分から弱っていらしった。」と金兵衛も茶なぞを勧めながら答える。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そう言えば、青山君。」と正香は手にした木盃もくはいを下に置いて、ひざをかき合わせながら言った。「君は和宮かずのみやさまの御降嫁あたりからの京都をどう思いますか。 ...
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まあ、吾家うちでも先月の三日に建前たてまえ手斧始ちょうなはじめをしたが、これで石場搗いしばづきのできるのは二百十日あたりになろう。和宮かずのみやさまの御通行までには間に合いそうもない。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それはですね、江戸城に火を放つ、そのすきに乗じて和宮かずのみやさまを救い出す、それが真意であったとか聞きました。あの仲間のことだ、それくらいのことはやりかねないね。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「待ってください。ここに静寛院せいかんいんさまと、天璋院てんしょういんさまのことも出ています。この静寛院さまとは、和宮かずのみやさまのことです。お二人ふたりとも最後まで江戸城にお残りになったとありますよ。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「どれ、位牌堂いはいどうの方へ御案内しましょう。おそかれ早かれ、こういう日の来ることはわたしも思っておりました。神葬祭のことは、あれは和宮かずのみやさまが御通行のころからの問題ですからな。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)