向町むかひまち)” の例文
そも/\は小諸の向町むかひまち(穢多町)の生れ。北佐久の高原に散布する新平民の種族の中でも、殊に四十戸ばかりの一族いちまきの『おかしら』と言はれる家柄であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やがて二人は根津の西町の町はづれへ出た。石地蔵の佇立たゝずむあたりは、向町むかひまち——所謂いはゆる穢多町で、草葺くさぶき屋造やねが日あたりの好い傾斜に添ふて不規則に並んで居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)