名宣なの)” の例文
始から高利と名宣なのつて貸すのだから、否な者は借りんが可いので、借りん者を欺いて貸すのぢやない。宮の如き畜生が何で再び人間に成りるものか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その後さる町家から妻を迎えてからは、とうとうこれを本職のようにしてうえがたに出入りをはじめ、自ら鼓の音にちなんだ音丸という苗字を名宣なのるようになった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
名宣なのられし女は、消えもらでゐたりし人陰のくらきよりわづかにじり出でて、面伏おもぶせにも貫一が前に会釈しつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「ハハ。名宣なのる程の用向きではないが……」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
文章を書くとふよりは柔術やはらを取りさうな恰好かつかうで、其頃そのころ水蔭亭主人すゐいんていしゆじん名宣なのつてました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「名を名宣なのれッ」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さうであるならば僕の方でもあへて望まん、立派に名宣なのつて僕も間貫一を棄つる!
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)