可笑かし)” の例文
事実は世の中をあきらめると、何だか自分で自分がお可笑かしいくらい働き出し、而もそれを働いて居るとも感じないのです。
ある日の蓮月尼 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
『豚小屋を、きれいにするのはお可笑かしい。豚小屋は昔から、汚ないところときまつてゐるのに。』
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
「凡そ知ッているのよ、いって御覧なさい、怒りもなにもしないから。お可笑かしな位よ、」と言う主人の少女の顔は羞恥はずかしそうな笑のうちにも何となく不穏のところが見透かされた。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「お可笑かしいわねえ! 今あたしの後からここまでついていらしたのに」
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そこの卓子テーブルの一隅にはパラマント・オン・パレードで男前を見せたかのマツイ翠声すいせいがお可笑かしな顔をしてスープをすすっていた。そう云えばさっきフジに面した舗道に汚い小型自動車が棄ててあった。
職業婦人気質 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
「オヤそれは何の真似まねだえ。お可笑かしなことをおだねえ。父上おとうさんの写真が何だというの?」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
可笑かしけれおみな子なれば母ぶりて人形などを抱くなりけり
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
可笑かしな生理学なんか妾、知らない。
職業婦人気質 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
『まあ、ほんとにお可笑かしいわね、蛙のやうよ』
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)