“古鞄”の読み方と例文
読み方割合
ふるかばん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
妻はと見ると虫の息に弱った赤坊の側にうずくまっておいおい泣いていた。笠井が例の古鞄ふるかばんを膝に引つけてその中から護符のようなものを取出していた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「そら来た。私、何をすればいいか判ったわ。私が宮様プリンセス時代に持っていた、あの古鞄ふるかばんをあけてみましょう。」
三角形にふくらんだボクスの古鞄ふるかばんを、左手にシッカリと抱き締めながら、白い踏切板の上から半身を傾けて、やはり霜をかぶっている線路の枕木の上へ、兵隊靴の片足を踏み出しかけた。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)