博奕打ばくちう)” の例文
徳さんは高名な親分「築正」一家の身内だそうで、プロの博奕打ばくちうちだということをつねづね誇りにしていた。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
博奕打ばくちうちだそうです。何も縁だからと言って私達に昼飯の御馳走をした上に、この道中では特に喧嘩口論を慎むようにと懇々説諭をしてくれました。私達は感心しましたね。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
同じ十二銭の弁当であるが、この男のさいだけは別に煮てある。悪い博奕打ばくちうちがいか物のさいを使うように、まかないがこの男の弁当箱には秘密の印を附けているなぞと云うものがある。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
こんなことではいつになったら母親を迎えに行けるだろうかと、情けない想いをしながら相変らず通っていたが、妓は相手もあろうに「かんつりの半」という博奕打ばくちうちに落籍ひかされてしまった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
引っ捕えてみるとそれは、その界隈で持てあまし者の博奕打ばくちうちであった。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不粋ぶすいな客から、芸者になったのはよくよくの訳があってのことやろ、全体お前の父親は……とかれると、父親は博奕打ばくちうちでとか、欺されて田畑をとられたためだとか、哀れっぽく持ちかけるなど
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)