南柯なんか)” の例文
自分のえりをかかえ抱き起して一声自分の名を呼ぶ,はッと気がついて目を覚ます……覚めて見ると南柯なんかの夢……そッと目を開いて室を見廻わして
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
語らっているとお露の父平左衛門に発見みつけられ、あわや一刀両断の処置にあわんとして南柯なんかの夢さめる、何事もなく身は船中に転寝うたたねしていたのであるが
南柯なんかの夢で正成を笠置に召し出したのが奉公の最初であるとする、『太平記』の説はさてき、早くからこの君臣の間に、ある関係があったことは想像出来る。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかして、われの今かく生活し、動作しおるゆえんのもの、実に「南柯なんかの一夢」に等しく、他日忽然こつぜん夢覚めて今日を顧みば、唖然あぜんとしてその長夜の迷夢たりしさまを笑うことなきを期せず。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
母の声におどろいて目がさめればこれなんまさしく南柯なんかゆめであった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
すべて、南柯なんかの一であったのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)