卓子てえぶる)” の例文
余は又目科がく詮さくする間に室中を其方此方そちこちと見廻して先に判事の書記が寄りたる卓子てえぶるの下にて見し彼のコロップの栓を拾い上げたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
私は卓子てえぶるに頬杖をしながら差し迫つて考へなければならない用件のために、時々眼を瞑るのであつたが、ほかほかとするあまり快い陽気の加減か
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
卓子てえぶるの上、椅子の上、ちんからころりと騷げども、騷げども
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
けふ わが卓子てえぶるのうへに
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
中程には是も古びたるきれを掛し太き卓子てえぶるあり、之を囲める椅子の一個は脚折れて白木の板を打附けあるなど是だけにても内所向ないしょむきの豊ならぬは思いらる。
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
れど是等これらの道具立てに不似合なる逸物いちもつは其汚れたる卓子てえぶるり白き手に裁判所の呼出状を持ちしまゝ憂いに沈める一美人なり是ぞこれ噂に聞ける藻西太郎の妻倉子なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)