卒気そっけ)” の例文
旧字:卒氣
惣治はこれまでとてもさんざん兄のためにはいためられてきているのだが、さすがに三十づらをしたみすぼらしい兄の姿を見ては、卒気そっけない態度も取れなかった。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
卒気そっけない返事を投げ返したままで、お菊は又そこを逃げるように通りぬけて、材木置場の入口へ出た。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それはわざとしたようなはやい舟脚で、はなはだ卒気そっけないものであった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)