半蔵門はんぞうもん)” の例文
冬木刑事の同僚で先輩である沖田おきた刑事はまるで元気のない歩調あしどりで、半蔵門はんぞうもんから三宅坂みやけざかのほうへ向いて寒い風に吹かれながら濠端ほりばたをとぼとぼと歩いていた。
五階の窓:03 合作の三 (新字新仮名) / 森下雨村(著)
堀端ほりばたの柳は半蔵門はんぞうもんから日比谷ひびやまで続いているが、此処ここの柳はその反対の側に立っているのである。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半蔵門はんぞうもんを過ぎて四谷見附よつやみつけに来かかる時まで、矢田はさすがにおとなしく、連れではないような風をして口もきかずにいたが、君江が春代を残して一人車から降りかけるのを見るや否や
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
半蔵門はんぞうもん、半蔵門でございます。九段くだんいち本郷ほんごう神田かんだ小石川こいしかわ方面のおかたはお乗換え——あなた小石川はお乗換ですよ。お早く願います。」と注意されて女房は真黒まっくろな乳房をぶらぶら
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)