午砲ごほう)” の例文
千悔、万悔、ほぞんでいる胸元を貫くような午砲ごほうひびき。それと同時に「御膳ごぜんで御座いますよ」。けれど、ほいきたと云ッて降りられもしない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
轟然ごうぜんたる一発の午砲ごほうが響き渡りますと、それを合図にこの十人の狂人たちの中から、思いもかけぬスバラシイ心理遺伝の大惨劇が爆発致しまして、天下の耳目を聳動させると同時に
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ラスキンをほうり出して、浅草紙をまた膝の上へ置いたまま、うとうとしていた私の耳へ午砲ごほうの音が響いて来た。私は飯を食うためにこのような空想を中止しなければならないのであった。
浅草紙 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)