午後ひるから)” の例文
午後ひるからになつてから、やつぱり氣がゝりだから、どうでも——町へ行つて、念のために、一應專門の眼科醫にて貰ふ事にしようと言つて伴れて出た。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
あアお午後ひるからぶらぶらと向を出て八時なら八時に数寄屋橋までけろと云や、ちゃんと其時間にへえったんでさ。……ああ、面白えこともあった。苦しいこともあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
小さい台を真中に夫婦さし向いで、午前ひるまえ半日精々せっせとしあげておいて、午後ひるから二人でそれを売りに出る。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
午後ひるからでなければ遊ばれませんよ、と女中が云ひましても、私はじつとして待つて居れば、楽しい時間の来ることが早いと云ふやうに信じて居るものですから、我儘わがまゝを云ひ張つて
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
午後ひるから私が廻る積りです」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「あんな事をいふ。まだ午後ひるからの診察も來ないのに。——あら、また切つたね。お止しよ冷吉。子供のやうに何です。」
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
私の居る二階の下まで来ました時、竹中はんは上を一寸ちよつと見上げたまゝで、ずつと通つて行つてしまひました。失望して居る私に女中は午後ひるからを待てとも云ひませんでした。私も黙つて居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「おくみさん、何ならいつそ午前ひるまへに一寸行つて来たらどうだらう。久男は厄介だから、置いとけば一人で遊んでるよ。今日はこれでは午後ひるからは暑くて歩かれないよ。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
片づけてこちらへ来て、序に帯をほぐしにかゝる。やつぱり軽い糊を附けてちやんとしなければならないから、縫ふのはあすの午後ひるからでなくては出来さうにもなかつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
おかみさんはそれから二階へお上りになつたり、裏口へ出て御覧になつたりして、しばらくお遊びになつた後、午後ひるからの日ざしのまだ残つてゐる中を帰つて入らつした。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
四日目の午後ひるから宿屋の亭主が來て、加害者の處置について母と相談した。冷吉には最うさういふ事は、履かれない古下駄をでも見るやうに、どうでもいゝやうな氣がした。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)