千箇寺せんがじ)” の例文
団扇太鼓うちわだいこもだらりと下げて、音も立てず、千箇寺せんがじ参りの五十男が、口で石段の数取りをしながら、顔色も青くあえぎ喘ぎ上るのを——下山の間際にたことがある。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
八方、諸国、流転の末が、一頃、黒姫山の山家在やまがざいの荒寺に、堂守坊主でりました時、千箇寺せんがじまいり、一人旅の中年の美麗な婦人——町内の江戸絵のうちと……ず申して宜しい。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)