かくも)” の例文
「そんな事を云うたとて、きのうも何度、平家のお侍衆が、触れて来たことか。かくもうたなどと疑われてみさっしゃれ、それこそ……」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれにせよ、用捨すな。かくもうたら断罪に処するぞ。またよい落武者討ち取って、首をしるしに持参なせば、それも由々ゆゆしい汝らの出世となろう。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくもうた京極の策を同じようにし返してやるのじゃ。ははははは。後はこの忠房が引き受けた。必ずとも心配いたすな
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「われわれが北条殿のむすめをかくもうているなどとは、聞き捨てにならぬ沙汰だ。あらぬ云い懸りをして、山領を踏み荒さんとなれば、われらにも覚悟がある」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、老台ろうだいを連れてゆくまえに、隣家の空家にかくもうてある女賊に縄を打ちますが、お覚悟でござろうな」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「というても……」と、かれはいたく迷惑そうに、「この弦之丞自身すらが、流々るるに任す無住の浪人、定まる家もない境遇であれば、そなたをどこへかくもうてあげるすべもない」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここの塔へそっとかくもうて——
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)