勃起ぼっき)” の例文
平民社会の勃起ぼっきとは、つねに一致連帯の運動をなすものにして、このなかには実にいうべからざる妙理の存するものあるは社会の大勢に通じたるの士の実に玩味がんみするところならん。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それ等の人間が急行列車桜、高速力巡航船、ホテル、トーキー常設館、オフィス、レストラン、冬期競馬場、少女歌劇場、それらの場所にいたあらゆる階級人が、驚愕きょうがくするような事件が勃起ぼっきした。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
「どうしたら、ええんだ!」——しまいに、そう云って、勃起ぼっきしている睾丸きんたまを握りながら、裸で起き上ってきた。大きな身体の漁夫の、そうするのを見ると、身体のしまる、何か凄惨せいさんな気さえした。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
昭和十二、三年頃だから中日事変が勃起ぼっきしたばかりの頃である。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)