加須かぞ)” の例文
武蔵の産物としては騎西きさい加須かぞ鯉幟こいのぼりもその一つに挙げるべきでありましょう。五月の節句に勢いよく高くなびくあの幟であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
母親は小川で後ろ向きになってせっせと何か物を洗っていた。加須かぞに通う街道には畠があったり森があったりはんの並木があったりした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
埼玉県の加須かぞ羽生はにゅうの「青縞あおしま」も名がありましたが、あいを生命としている縞物しまものだけに、本藍ほんあいから離れたことは大きな引目ひけめといえましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
加須かぞ街道方面とはまったく違った感じをかれに与えた。むこうはしんとしている。人気ひとけにとぼしい。娘などもあまり通らない。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
父の商売の得意先もこのごろでは熊谷くまがや妻沼めぬま方面よりむしろ加須かぞ大越おおごえ古河こがに多くなった。離れていて、土曜日に来るのを待つのもつらい。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)