“剛張(こわば)” の例文
剛張(こわば)った両腕をぶん廻しながら事務室へ行ってのぞき込むと、書記は面倒くさそうに刷り上った幾枚もの紙を揃えて、さらに何かペンで数字を訂正している。
瘤 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
彼女の様子は剛張(こわば)っていた。そのくせ心は纏(まと)まりなく動いていた。先刻(さっき)出かけようとして着換えた着物まで、平生(ふだん)と違ったよそゆきの気持を余分に添える媒介(なかだち)となった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、その語尾は、もはや舌が剛張(こわば)って、思うようにいえなかった。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)