前途遼遠ぜんとりょうえん)” の例文
「いや、だ/\前途遼遠ぜんとりょうえんだ。紙入の中に名刺があったので、夕刻、落し主が呼び出された。松本君、誰だったと思う」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分が始めて彼のぜんを見たときその上には、生豆腐なまどうふ海苔のり鰹節かつぶし肉汁ソップっていた。彼はこれより以上はしを着ける事を許されなかったのである。自分はこれでは前途遼遠ぜんとりょうえんだと思った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかも一方は親のすねかじってる前途遼遠ぜんとりょうえんの書生だし、一方は下女奉公でもして暮そうという貧しい召使いなんだから、どんな堅い約束をしたって、その約束の実行ができる長い年月の間には
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まだなら、前途遼遠ぜんとりょうえんのように取れる。一寸ちょっとのことだけれど、大分感じが違う。く見ていると、お父さんもこれを心掛けている。初老しょろうの到来後間もなく、お父さんは白髪がポツポツ目立ち始めた。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「僕は前途遼遠ぜんとりょうえんだよ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)