“前方(まへ)” の例文
山内は顔を真赤(まつか)にして会釈して、不即不離(つかずはなれず)の間隔をとつて、いかにも窮屈らしい足調(あしどり)で、十間許り前方(まへ)をチヨコ/\と歩いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
このとき我いよ/\大きく目を開きてわが前方(まへ)を望み、その色石と異なることなき衣(ころも)を着たる魂を見き 四六—四八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我わが前方(まへ)にのみ黒き地あるをみしとき、おのが棄てられしことを恐れてわが傍(かたへ)にむかへるに 一九—二一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
と落着いた答へをして閃(ちら)と男の横顔を仰いだが、智恵子の心には妙に落着がなかつた。前方(まへ)の人達からは何時しか七八間も遅れた。背後(うしろ)からは清子と静子が来る。其跫足も怎(どう)やら少し遠ざかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
後方(うしろ)に赤く燃ゆる日は、わがためにその光を支(さ)へられて碎け、前方(まへ)にわが象(かたち)を殘せり 一六—一八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
地獄の王の旗あらはる、此故に前方(まへ)を望みて彼を認むるや否やを見よ、わが師かく曰へり 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
伏したる者は顏を前方(まへ)に逐ひ、角を收(をさ)むる蝸牛の如く耳を頭にひきいれぬ 一三〇—一三二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
蛇は彼等の手を後方(うしろ)に縛(いま)しめ、尾と頭にて腰を刺し、また前方(まへ)にからめり 九四—九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)