前垂掛まえだれがけ)” の例文
前垂掛まえだれがけ、昼夜帯、若い世話女房といった形で、その髪のいい、垢抜あかぬけのした白い顔を、神妙に俯向うつむいて、麁末そまつな椅子に掛けて、卓子テエブル凭掛よりかかって、足袋を繕っていましたよ、紺足袋を……
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
京の町々を歩くと、珍らしくも紺絣こんがすりの着物に前垂掛まえだれがけ、頭には手拭てぬぐい、手には手甲てっこう、足には脚絆きゃはん草鞋わらじ出立いでたちで、花や柴木を頭に山と載せ、または車に積んで売り歩く女たちの姿を見られるでしょう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
独鈷入とっこいり博多はかたの帯に銀鎖をいて、きちんと構えた前垂掛まえだれがけ
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)