削除さくじょ)” の例文
しっぺ返しとは、どんなことを意味するであろうか? まさか私を、会の案内状から削除さくじょするという意味ではあるまい……?
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
うけたまわるのはいいですが、だいぶ多人数の意見を載せるつもりですから、かえってあとから削除さくじょすると失礼になりますから」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、いよいよ、そうひとりぎめをして役場にある当用漢字表を調べてみると、瓢の字は漢字制限で削除さくじょされていた。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
因って儂ら同感の志士は、これを未萌みほう削除さくじょせざるを得ずと、すなわ曩日さきに政府に向かって忠告したる所以ゆえんなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
但前版巻尾の北海道紀行「熊の足跡」、京都紀行「紅葉狩」の二文は、もとよりあらずもがなの蛇足だったので、此機会に削除さくじょし、其あとに新に「読者に」の一篇を書きました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それを勝手に出版屋の方で削除さくじょするというのはいささか無法のことでもあり、またそれが世間当然のことだとしても、もっぱらその交渉の任に当っている笹川に
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
多々羅三平の件をことごとく削除さくじょしては、全巻を改板かいはんする事になるから、簡潔明瞭めいりょうに多々羅三平は股野義郎にあらずと新聞に広告しちゃいけないかと照会したら、いけないと云って来た。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)