別館はなれ)” の例文
「物置のある別館はなれと云うと、あれなんですね?」東屋氏は岬の最尖端の船室ケビン造りの建物に向って、歩きながら言葉を続けた。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
主屋と別館はなれとをつないでいるものは、屋根を持っている渡り廊下で、真珠のような月の光が、木の間を洩れて廊の欄干へ、光の斑を置いていた。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主屋と離れ、崖の中腹に、懸け作りになっている別館はなれが一棟、桜や椿やほおの木に囲まれ、寂然として立っていた。
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがて私達が再び別館はなれの前まで来ると、東屋氏は、物置の秤台に置かれた桁網の中からマベ貝を二ツ三ツ掴み出して来て、キャプテン深谷の船室ケビンへ這入った。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
実家へ逃げ帰り、居合わせた若党の井口権之介というのを連れ、夢中で家出し、駕籠で山越えをし、この猿ヶ京の、この桔梗屋の、この別館はなれの、この部屋で一夜を明かしたが……
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「さあ。これでどうやら、この事件も解決が出来ました。これからひとつ説明を致します。どうぞ別館はなれ船室ケビンへお出で下さい。あちらの方に色々材料が揃っておりますから——」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)