出後でおく)” の例文
「おいで、さあ、夜が明けると人が見るぜ。出後でおくれた日にゃあ一日逗留とうりゅうだ、」と言いながら、片手にともしを釣って片手で袖を引くようにして連込んだ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしろなるも、左も右も、人波打ちつつどやどやと動揺どよみ出づる、土間桟敷に五三人、ここかしこに出後でおくれしが、頭巾かぶるあり、毛布けっとまとうあり、下駄のつつみ提げたるあり、仕切の板飛び飛びに越えてく。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)