冷笑ひやか)” の例文
「よう、よう、畜生ッ!」と皆が冷笑ひやかした。すると野田は真赤になって狼狽しながら、憐れな恰好で岩佐に救いを求めたのだ。
お菜のない弁当 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
自分のひざを突っつきながら、「なぜあいつに対して、そう改まってるんです。元から知ってる間柄あいだがらじゃありませんか」と冷笑ひやかすような句調くちょうで云った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わざと田舎者の言葉を使い、冷笑ひやかすようにその男はいい、それでも案内をする気と見え、先に立って門をはいった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
労働協会の松本君の如きも、篠田君は山木剛造の総領娘と結婚するさうぢやないか、しからんことだと云ふから、君達はだ其れ程までに篠田君が解からないのかと冷笑ひやかしてやつたのだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼の仲間も、何時ものように昨夜のことを冷笑ひやかしもせずに鹿爪らしい顔をしていた。恐らくこの山に執着のなくなった彼と親しくすることは、不得策だと考えているのだろうと池田は思っていた。
恨なき殺人 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
気の早い炭坑連中からイクラ冷笑ひやかされても、腰抜け扱いされても、源次は知らん顔をしていたばかりでなく、かえってそれからのちというものは、福太郎に出会うたんびにヒョコヒョコと頭を下げて
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
第二の幽霊 (冷笑ひやかすやうに。)君の全集でも出来るのかい?
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
冷笑ひやかすような調子で笑いながら