冥邈めいばく)” の例文
暮れんとする春の色の、嬋媛せんえんとして、しばらくは冥邈めいばくの戸口をまぼろしにいろどる中に、眼もむるほどの帯地おびじ金襴きんらんか。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
片鱗へんりん溌墨淋漓はつぼくりんりあいだに点じて、虬竜きゅうりょうかいを、楮毫ちょごうのほかに想像せしむるがごとく、芸術的に観じて申し分のない、空気と、あたたかみと、冥邈めいばくなる調子とをそなえている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)