兵仗へいじょう)” の例文
葬儀は、衣笠山きぬがさやまの等持院でいとなまれた。勅使の差遣さけん、五山の僧列、兵仗へいじょう堵列とれつ、すべて、儀式の供華くげや香煙のさかんだったことはいうまでもない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし高平太はにくむばかりか、内心おれを恐れている。おれはさき法勝寺ほっしょうじ執行しゅぎょうじゃ。兵仗へいじょうの道は知る筈がない。が、天下は思いのほか、おれの議論に応ずるかも知れぬ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
然し蒲生家の者は、其歌は賢秀の上を云ったのでは無く、賢秀の小舅こじゅうとの後藤末子に宗禅院という山法師があって、山法師の事だから兵仗へいじょうにもたずさわった、其人の事だ、というのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
関白は、うじ長者ちょうじゃといわれ、参内には、内覧ないらん兵仗へいじょう牛車ぎっしゃをゆるされる人臣至上の職であるが、尾張中村の一百姓の子には、もともと、はっきりしたうじも家系もない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)