共稼ともかせ)” の例文
どうか巡査でもよいから同情の厚い人の正妻になり、共稼ともかせぎがして見たいと思っていたので、川上との相談もととのい結婚はしたが
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
『アハハハハハ麦飯を食わして共稼ともかせぎをすればよかろう、何もごちそうをして天神様のお馬じゃアあるまいし大事に飼って置くこともない。』
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
実際また夫婦が共稼ともかせぎをするばかりに、知らず知らず双方の最低賃銀を下げて、せずともよい我慢をしている家が多い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
名もきぬとあらためて、立派なおかみさんになって居た。夫妻共稼ともかせぎで中々せわしいと云った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こいさんもゆくゆく洋裁の方で身を立てて、夫婦共稼ともかせぎをしようと云っておられますので、経済上のことについてもお宅の御迷惑になるようなことはいたしません、などとも云っていた。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
共稼ともかせぎほどみじめな者はございません。私は泣いてはおられずあとの仕事をつづけて行かなくてはなりません。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)