たぐい)” の例文
すると二三人の侍女がはしって往ったが、ちょっと手間を取ってから、一人の老婆が女郎むすめをつれて出てきた。それは年のころが十六七で、その麗わしいことはたぐいのない麗しさであった。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
爾のしろしめすごとくわが夫に天地の正気せいきあつまるあり、その壮宏たる富嶽のごとく、そのかんばしきこと万朶まんだの桜のごとく、そのしゅうそのほう万国ともにたぐいし難し、我如何いかにしてこの夫を欺くべけんや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
昔聞く暁月坊、国に死す承久のとき、今見る公が兄弟けいてい真箇しんこ、古人のたぐい
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)