僉議せんぎ)” の例文
朝廷が尊氏討伐を決定してこれを公卿僉議せんぎせんしたのは、十一月に入ってからのことにはちがいないが、その幾日頃であったろうか。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「女(が)見返す」と見るか、「女(を)見返す」と見るかの相違であるが、そうやかましく僉議せんぎするほどのこともあるまいと思われる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
猿一つして板一枚草一把を儲けて橋に渡し、いかだに組みて竜宮城へ渡らんといいければ、小猿の僉議せんぎに任せて、各板一枚草一把を構えて橋に渡し、筏に組みて自然に竜宮城に至れば、竜王
太閤の御前へ吉長と訴人とを呼び出して僉議せんぎに及んだ。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大講堂の山門の僉議せんぎがひらかれたので、山法師の群れにまぎれ込み、その評定ひょうじょうの様子を見聞きしていたところ、誰からともなく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
客の性質や客との関係は、そう僉議せんぎを加えるほどのこともない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
「第二には——その密偵、実性じっしょうなる下司げす、山門の僉議せんぎを盗み聞き、世上へしからぬ風説を流布るふいたしたる罪状はいかん」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「上書は、洞院ノ実世卿さねよきょうからただちに叡覧に入れ、僉議せんぎの席でもご披露あったやにうけたまわります。が、ついにお返し沙汰は何もございませぬ」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「山門の僉議せんぎ」の目的は、自分たちの包まない意見も感情もぶちまけて討議するところにあるので、口が禍いになって、後難を恐れていては行われない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その忠顕は、外では義貞とむすび、公卿僉議せんぎでは、たれよりつよい主戦論をとっていた。そして後醍醐へもしばしば直奏じきそうの下に迫るなどの熱中のしかたであった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「百官を未央びおう殿にあつめ給い、僉議せんぎも相すみ、異口同音、万歳をとなえて、一決いたした結果です」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)