健康ぢやうぶ)” の例文
「負けるもんか、長いこと病みはうけた人に。……出て來たらギユウと押へ付けてあげる。健康ぢやうぶな時でもわたへの方が強い。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
女の心の臓が案外健康ぢやうぶだつたので、幾らか物足りない気持で、医者が待合室へ入つて来ると、そこには中馬が引き拗つた耳朶みゝたぶを火鉢の火であぶつてゐた。
「なんの、長二」と伯母は白き頭振りつ「身体からだは使ふだけ健康ぢやうぶだがの、お前などのは、心気こゝろを痛めるので、大毒だよ——今ではお前も健康の様だが、生れが何せ、脆弱よわたちで、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それほど心の美しい人でも、斯様こんな療養地へ来て居る悲しさには、親しい友達にまで気をつかつて、健康ぢやうぶな人の知らないところに苦労すると見える。猶、聞けば、その男の客は斯様こんな話もする。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「孝一は大変健康ぢやうぶさうになつたな、うむ、確りしたいゝ体になつた。」
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
次ので病人が健康ぢやうぶであつた時のやうに、「ハイー」といふ返辭をしたので、氣味わるがつて首を縮めつゝ、病室を覗いたが、京子はまた眼を閉ぢてスヤ/\眠つてゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)