信恬しんてん)” の例文
名は信恬しんてん、通称は辞安じあんという。伊沢うじ宗家そうか筑前国ちくぜんのくに福岡ふくおかの城主黒田家くろだけの臣であるが、蘭軒はその分家で、備後国びんごのくに福山の城主阿部伊勢守あべいせのかみ正倫まさともの臣である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
蘭軒は初め名は力信りよくしんあざな君悌くんてい、後名は信恬しんてん字は憺甫たんほと云つた。信恬は「のぶさだ」とませたのである。後の名字は素問上古天真論の「恬憺虚無、真気従之、精神内守、病従安来」より出でてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)