伝通院でんづういん)” の例文
旧字:傳通院
丁度この見晴しと相対するものはすなわち小石川伝通院でんづういん前の安藤坂あんどうざかで、それと並行する金剛寺坂こんごうじざか荒木坂あらきざか服部坂はっとりざか大日坂だいにちざかなどは皆ひとしく小石川より牛込赤城番町辺あかぎばんちょうへんを見渡すによい。
「おぶんさんという、常磐津ときわずの地で、地弾じびきをしてくれる人が、あたしを可愛がってね。小石川伝通院でんづういんにいた、高名な三津江師匠のところへ連れてってくれたのだが芸はこわい。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それは小石川の伝通院でんづういん脇の下宿に居る時であった。此下宿は体裁は余り好くなかったが、それでも所謂いわゆる高等下宿で、学生は大学生が一人だったか、二人だったか、居たかと思う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
このお菊の霊は伝通院でんづういん了誉上人りょうよしょうにん解脱げだつさしたのであった。
皿屋敷 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「どうもおすまさんは伝通院でんづういんの近くにいるらしい」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)