今日様こんにちさま)” の例文
こう考えて、お前さんをほっといちゃあ今日様こんにちさまにすまないのさ、これから力になったりなられたり、なんてわけでね。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いったん古賀さんへ嫁に行くてて承知をしときながら、今さら学士さんがおいでたけれ、その方にえよてて、それじゃ今日様こんにちさまへ済むまいがなもし、あなた
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日様こんにちさまを生きるにゃあ学ほど大切なものはねえ、あっしもせめては発動機の運転手になりてえもんだと、そうっ——と、都合十六ぺんがとこは試験を受けやしたが
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
柳「だッてお前さん、現在我子と知れたのに打棄うっちゃって置くことは出来ませんから、名告らないまでも彼を棄てた罪滅つみほろぼしに、のくらいの事はしてやらなければ今日様こんにちさまへ済みません」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今日様こんにちさまにすむっていうのか。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
起抜けに今日様こんにちさまを拝んだ早耳三次が、花川戸の住居でこれから小豆粥あずきがゆの膳に向おうとしているところへ、茶屋町の自身番の老爺があわただしく飛込んで来た。
ただ、この身が種をまきながら、こうして栄さまをひとりじめにしていては四方八方すまぬところだらけ——今日様こんにちさまに申しわけなく、そら恐ろしいとでもいいたいような。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)