人畜生にんちくしょう)” の例文
何故我々を忠義の士とするためには、彼等を人畜生にんちくしょうとしなければならないのであろう。我々と彼等との差は、存外大きなものではない。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(おのれ、不義もの……人畜生にんちくしょう。)と代官婆が土蜘蛛つちぐものようにのさばり込んで、(やい、……動くな、そのざまを一寸でも動いてくずすと——鉄砲あれだぞよ、弾丸あれだぞよ。)
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お聞きの通りじゃ、鬼王丸め、市之丞殿を殺すとおどして、芳江姫を屈伏させ己が色慾をとげようとするのじゃ。何んと残忍暴戻ぼうれい人畜生にんちくしょうではござらぬかな。悠々としてはいられない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「わしは御免じゃ。いくら道雄さんに逢い度うても、あの人畜生にんちくしょうの屋敷の敷居をまたぐのは御免じゃ。お前さんは知りなさるまいが、諸戸の傴僂夫婦は、人間の姿をした鬼、けだものやぞ」
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼奴等きゃつらは皆、揃いも揃った人畜生にんちくしょうばかりですな。一人として、武士の風上かざかみにも置けるような奴は居りません。」
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「に、人畜生にんちくしょう!」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)